あの子と私

快感

暫くトイレに居ると、どんよりとした気持ちのまま教室に戻る。

HRはもう終わっていて、教室に入るとすぐにヨシが来て私に聞いた。


「大丈夫?顔色悪いよ?」

「あ…うん」


私は返事だけすると自分の席に座り、ポケットの中の携帯を触る。

いつ鳴りだすか分からない。

こんな事、誰にも相談出来ない……。


確かにヨシは以前より優しくなったけど、こんな事になるなんて思わなかった。

授業が始まっても、タカの言葉が頭の中をグルグル回る。

授業に集中出来ないまま全部の授業が終わると、ヨシが来て言った。


「アリス、今日も家に来るよね?」

「今日は…」


もしヨシと一緒に居る時タカからメールが来たら、怪しまれてしまうかもしれない。

私は言葉を続ける。


「今日は…暫く勉強してなくて遅れてるから、今日は真っ直ぐ家に帰るね」


ヨシは少し残念そうな顔をして言う。


「最近ずっと家の中だったから、ちょっと遊びに出るのもいいかなって思ったんだけど…俺のせいで勉強出来なかったもんね」

「……。ヨシは?…大丈夫そう?」


私が聞くと、ヨシは今迄とは違う、少し穏やかな表情で答える。

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