あの子と私
「…うん」


掛けてみるだけだったら……。

ゆっくりと歩き、ヨシの隣に行くと、ピンクの縁の可愛らしい眼鏡をヨシに渡される。


「これ掛けてみてよ」

「…うん」


私はもう何年も掛けている大きめの黒縁眼鏡を外し、ピンクの眼鏡を掛ける。

こういう眼鏡は可愛いと思っていたけど、一生縁がないと思ってた。

私には可愛すぎる。

でもヨシはピンクの眼鏡を掛ける私を見て、少し興奮気味に言った。


「いい!やっぱりアリスに超似合うよ。トモも早く来なよ!!アリス、超可愛いんだ」


そしてトモがユックリ歩いて来て言う。


「いいじゃん」

「だろ?これ下さい」

「え?掛けるだけって…」

「いいから、いいから」


ヨシはそう言って店員とレジに向かい、私とトモは後を着いて行く。


「いいの…?」

「いいんじゃね?ナンパした女に金使うより」

「うん…」


そしてヨシの所に行くと、ヨシは楽しそうに私に言った。


「アリス、後は視力検査と先生の診察があるから、行っておいで」

「先生の診察…?」

「念のためだよ」

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