あの子と私
トモがそう言うとヨシは私の耳元で、小さな声で言った。


「絶対言うなって言われてるけど、トモも出してるから」

「…え?」

「お金」


トモが…?


「ありがとう」


私がトモにそう言うと、トモは不思議そうな顔をした後言った。


「そろそろ帰ろうぜ?」

「あっ、今日はトモはバイトだったんだよね。じゃあ、アリスとデートでも」

「私もそろそろ帰らないとお母さんに怒られるから」


私がそう言うと、ヨシは少し不貞腐れて言う。


「二人とも付き合い悪いな。俺もたまには早く帰るか」

「じゃあ、解散」

「アリスは明日、今日買った眼鏡かコンタクトで来なよ」

「…うん」


ヨシとトモと別れて駅へと向かう。

お店のガラス越しに映る自分の姿を、チラチラ確認しながら少し憂鬱な気分になった。

この髪形だともう三つ編みは出来ない。

お母さんは…何て言うだろう?

駅に着き電車に乗ると、家までの道のりはアッというまで、家の前に着くと入るのを少し躊躇し、思い切って玄関のドアを開ける。


「…ただいま」


いつもより小さな声でそう言うと、急いで部屋へと向かう。


「お帰りなさい。……アリス?」


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