あの子と私

友達

朝起きると、ずっと使っていた眼鏡と、昨日買って貰ったピンクの可愛いコンタクトを並べた。


どうしよう……。

コンタクトは昨日外すとき凄く時間が掛かったから、やめておこう。

このピンクの眼鏡を掛けると母親が又悲しそうな顔をする。

でも、いつもの眼鏡を掛けると、ヨシとトモががっかりするだろう……。

家を出る時は前の眼鏡を掛けて、その後はピンクの眼鏡にしよう。


そうすれば、誰も悲しまない。


私は鞄の中にピンクの眼鏡を入れると、いつものように前の眼鏡を掛け、いつもと変わらないように学校に行く用意をする。


「行って来ます」

「やっぱり前の髪型の方が知的で良かったわね」


そう言って見送る母親の言葉に、少し胸が痛んだけど私は軽く頷いて家を出る。

そして駅まで歩くとトイレに入り、ピンクの眼鏡に掛け直した。


「ごめんね…お母さん」


小さな声でそう呟き、学校へ向かう。

少しだけ恥ずかしくてドキドキした。

昨日まで三つ編みの黒縁眼鏡を掛けていた女の子が、髪形も眼鏡も変えて電車に乗っているんだ。


いつも同じ電車に乗ってる人達は、私だって気付いているだろうか?

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