あの子と私
その時教室のドアが開き、ヨシとトモが入って来た。

クラスの子達がそれに気付き、気まずそうな空気に変わる。

そんな空気に気付いているのかいないのか、二人は私の所に来て言った。


「おはよう、アリス。今日は早く来てアリスの可愛い姿を見ようと思ってたんだけど、トモが寝坊しちゃってさ」

「ごめんな、アリス」

「ううん…」


私が苦笑いしてそう答えると、ヨシが嬉しそうな顔をして言った。


「コンタクト、自分で出来たの?やるじゃん!」

「あ…うん。時間掛かったけど出来たよ」


思わず嘘を付いた。

これでもう、今日は眼鏡を掛ける事が出来なくなる。


「俺もさ、コンタクトを初めて入れる時時間掛かったんだよねー。トモは視力どれくらい?」

「2.0」

「マジで?」


二人の会話をボンヤリと聞きながら思う。

あんな目でクラスの子達に見られるくらいなら、眼鏡なんて掛けないでクラスの子達の顔なんて、見えない方がいいのかもしれない。

ほら、少し離れてる子の顔はボンヤリ見えるけど、表情までははっきり見えない。

眼鏡が無いのも、都合のいい時だってあるんだ。

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