あの子と私
そしてチャイムが鳴り、担任が来てホームルームが始まる。

ホームルームが終わり授業が始まると、黒板が全く見えなくて、私は仕方なく授業を聞かないで予習を始めた。

お母さんに”最近変わった”なんて言われて、勉強まで出来なくなったら、本当に心配を掛けてしまう。


頑張らなきゃ…


頑張らなきゃ……



「じゃあ、次の問題を川野」


え……?


何でいつもこんな時に当てられるんだろう……。

私は立ち上がり答える。


「すみません…分かりません」


クラスの子達のクスクス笑う声が聞こえた。


「さっきから何やってたんだ?」


先生はそう言って近付いて来ると、私の教科書とノートを手に取り、不満そうに言った。


「俺の授業を聞くより、自分でやった方がよく分かるって事か?」



そんなんじゃないのに


言い訳が出来ない……。



「なぁ、川野」


先生がそう言った時、トモの声が聞こえる。


「先生ー、早く授業進めてよ。俺、その問題解んねぇから早く解き方知りたいんだよね。それから、優等生いじめるのは止めて下さーい」

「べ…別にいじめてなんかないだろ?」



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