あの子と私
教科書を読んでいると、少しずつクラスの子たちが登校して来る。


「おはよー。何勉強してるの?」


え?

私……?

私は一瞬顔の筋肉を緩め、声がする方を見る。


「やだ、そんなわけないじゃん。ここ見て!この西郷隆盛の写真ってさ、大西に似てない?」

「ちょー、似てるー」

「おはよー。何?何?」

「これ見てよ」


私は楽しそうに話すクラスの女の子達から目を反らし、又教科書に視線を落とす。

私に話しかける訳ないよね。
でもいいな。

楽しそうで


学校のチャイムが鳴り、担任が教室に入ると、みんな急いで自分の席へと戻る。


「じゃー、出席を取るぞー。相川」

「……」

「相川?又遅刻か。井上」

「はい」


相川くん、又遅刻なんだ?
じゃあ、広瀬くんも?

二人はこの学校には珍しい金髪頭で、不良のレッテルを貼られている。


「川野」

「はい」


私があの二人と関わる事なんて、きっとない。
目を合わせるのも怖いくらいだし、話すなんて絶対に無理だ。

その前にそんな機会なんてないけど。

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