あの子と私
「友達…?俺だったら嫌な事は友達には押し付けない」


何でそんな意地悪を言うの……?


「……」


トモは少し悲しそうな顔をして、俯いて言った。


「……ま、アリスがいいならいいけど。行こう、ヨシ」


ヨシとトモは教室から出て行く。

私は暫くプリントを眺めて、職員室へと向かった。

何でトモはあんな事を言うんだろう……。


「失礼します。先生、プリントを持って来ました」


担任にプリントを持って行くと、担任は私に聞いた。


「…立花は?」

「用事があって帰りました」

「アイツは又……。すぐに人に押し付けて帰るからなぁ。川野、ご苦労さん」


私は頭を下げて職員室を出る。

何で、”頼まれた”事をトモや先生は”押し付けられた”って言うんだろう?

『友達』に頼まれたらやってあげたらいいし、もし断ったりして……


嫌われたくないんだ


家に帰ると、美味しそうなカレーライスの匂いがした。

今日もお父さんは早く帰って来るんだろう。

友達も出来て、最近両親も喧嘩をしない。



このまま全てが上手くいくような気がしていた。

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