あの子と私
ヨシと私の視線はトモに向き、トモは私に言う様に言った。


「好きかは分かんねぇけど、気になる奴はいる」


一瞬静かになり、ヨシは驚いた顔をすると、笑顔になりトモに聞く。


「マジ?誰が気になるの?俺、聞いてないんだけど」

「言ってねぇもん」

「えー、教えてよ」

「やだよ。まだよく分かんねぇし、それに好きって気持ちは、好きな女にだけ言えばいいんだよ。お前にたいに、あちこちで公言するもんじゃねぇの」

「何だよ。上手くいったら教えてよ?」

「あぁ、上手くいったらな」


トモの気になる人って誰なんだろう?

でも年上の奇麗なお姉さんが好きそうだよね。

トモもヨシも……。



少し胸がズキンとして、視線を落とすとヨシが聞いた。


「アリスは?」

「え」


私……?


「好きな男いないの?」


好きな男?

好きになるとドキドキしたり、悲しかったりするんだよね?

だったら私……

好きなのかもしれない。




ヨシのことが



でもそんな事言えない。

顔が熱くなる。


「い、いないよ。勉強が大変だから」

「マジでいないの?」


< 71 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop