あの子と私
そしていつもの様に父親が帰って来ると、母親は私を呼びに来て、私は食卓に向かう。


「アリス、今日はお父さんがケーキを買って来てくれたのよ。ほら!」


母親はそう言って嬉しそうに箱の中に並ぶ、ピンクのクリームにイチゴが乗った、可愛いケーキを私に見せる。


「ケーキくらいで大袈裟だな」


父親は少し笑いながらそう言うと、母親は父親に言葉を返す。


「だってケーキなんて凄く久し振りよ?」

「そうだったか?」

「そうよ。ねぇ貴方、近い内外食にでも行きましょうよ。アリスが大きくなって一度も行ってないじゃない?」

「……そうだな」


父親はそう言うと少し遠い目で天井を見て、母親は次々と料理を並べていく。


「最近ね、お料理をするのが楽しいの。だから二人とも、しっかり食べてね」

「うん」

「ほら、貴方も」

「あ、ああ……」


お母さんは凄く幸せそうだけど、お父さんはボンヤリしてる事が多い。

昔よりは話しやすくはなったけど……。



きっとこれが普通の光景なんだ。

家族みんなでご飯を食べるのにまだ慣れてない。


これからはもっと、家に居る時も楽しく居られるようになる。




本気でそう思ってた

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