あの子と私
昨日行ったのに、今日も行ったら怪しまれるかもしれない。

万引きは回数を重ねれば重ねる程、バレる確率が高くなるんだ

でも大丈夫

私は優等生なんだ

だからバレる訳がない

初めから疑われなければ、バレることもない

0にどんな大きな数字を掛けても、0にしかならないように


心臓の速度と同じように、歩く速度も上がっていく

急いでる訳じゃない

なのに身体が「急げ」って言ってる。

そして又いつもの本屋に着くと、平静を装う為少し呼吸を整えてから、本屋に入る。


本屋に入ると、店番のおじさんはチラリと一瞬だけ私を見て視線を下に落とす。

大丈夫。
疑われてない。

何でもいい。

別に欲しいわけじゃないんだ。

適当に選んで、鞄の中に参考書を入れようとした時だった。

後ろから肩を掴まれ、私の心臓は壊れるくらい一気に音を上げる。


……バレた。



そして


音を上げる心臓とは反対に、血の気は一気に引いていき、動けなくなる。


どうしよう……。


その時、掴まれた肩の方から声が聞こえた。

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