あの子と私
「絶対無理」


そう言うとトモは一枚目も二枚目も、いかつい顔をしてそっぽを向いている。


「なぁ、もういいだろ?」

「うん。後は俺が落書きするから、その辺で待っててよ」

「あぁ。こういう所、アリスは初めてなんだろ?色々見てみるか」

「うん」


ヨシをプリクラの所に置いて、トモと一緒にゆっくりと店内を歩く。

大きな音と、見た事がない物がいっぱいだ。

きっとみんなが当たり前のように知っていて、私が知らない事が沢山あるんだろう……。

そんな気がした。

そして又プリクラの所に戻ると、ヨシが嬉しそうに私とトモにプリクラを差し出す。


「お前さー…。何でいつもそっちなんだよ?」

「……」


プリクラには

”祝初体験”

と書かれてて、私は一気に顔が熱くなった。


「だって二人とも初体験じゃん。変な風に取るからダメなんだよ」

「携帯に貼れねぇじゃん」


トモはそう言って制服のポケットに入れ、私は慌てて鞄の中に入れた。


「結構時間が経つのが早いね。そろそろ帰ろうか?」

「そろそろ帰ろうかじゃねぇよ、バーカ」


トモがそう言い、ヨシと私が笑うと三人で駅に向かい、駅でヨシに切符を渡されると、二人と別れ電車に乗る。

< 80 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop