あの子と私
「……。ちょっと切らないでよー！！！」



母親の発狂する声に胸がドキンとなって、私は慌てて部屋に入りドアを閉める。


何の電話だろう…？


お母さんの話し方を聞いた感じだと……お父さん…？


他の人にあんな風に話す所、聞いた事がない。


私は服を着替え、少しだけベッドの上に腰を掛ける。


”着替えてなさい”


リビングに行った方がいい…？

そう思った時、母親の声が聞こえた。


「アリスー！」


行かないといけない……。


「…はい」


私は小さく返事をし、ゆっくりとリビングへと向かう。

そしてリビングのドアを開けると、母親がソファーに座り頭を抱え込んでいる姿が目に入る。


「…お母さん」


私が母親を呼ぶと、母親はゆっくりと顔を上げ、疲れた顔をして言った。


「あー、アリス…。今日はね、おやつを作ってたのよ。手を洗って一緒に食べましょう…？」

「…うん」


さっきの電話の事を何も言わない母親に、少しホッとした。

気になるけど何も言わないって事は大したことじゃないかもしれない。

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