あの子と私
そして手を洗いソファーに座っていると、母親はオレンジジュースと大量焼いたクッキーを、テーブルの上に置いて言った。


「少し焼きすぎたわ。食べましょう?アリス」

「うん」


母親はテレビを付け、無表情でクッキーを食べる。


やっぱり…何かおかしい。


私は恐る恐る、母親に聞いた。


「お母さん、電話誰らだったの?」


すると母親は眉間にシワを寄せ、険しい顔をして言う。


「アリスは…アリスは余計な事は気にしなくていいの。あんな電話…冗談に決まってるわ。あり得ないもの……」

「……」

「さぁ、食べなさい。アリス」

「うん」


私は母親が作ったクッキーを口に入れる。

……?

塩の味がする。


「お母さん、これ…」

「何?美味しく出来てるでしょ?それからアリス…今日は勉強はいいから、ここに居なさい」

「え?」


今迄お父さんが居なくても、そんな事言われた事ないのに


「それから明日は……学校を休みなさい」

「え?でも…」


今迄は私がどんなに嫌がっても勉強が遅れるからって、休ませてなんかくれなかったのに……。


あの電話のせい?

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