あの子と私
そして母親は少し黙ってから言った。


「…明日大丈夫なら大丈夫だから……。アリス、頼むわね…」

「…うん」


母親と私は殆ど会話もなく、母親は無表情のままテレビをボンヤリと見ていた。

そして出前を頼み、無口なままご飯を食べると、お風呂に入り、お風呂から上がると母親に言う。


「お母さん、そろそろ寝るね」

「…そうね。おやすみ、アリス」

「おやすみなさい」


部屋に戻り布団に入り私は考える。

明日…何があるんだろう……?


明日になれば分かる。

何も無かったらいいな……。


翌日私はいつもより少し早く目を覚ます。

家の気配から父親はまだ帰ってきてないみたいだ。

今日は本当に学校を休むのかな…?

私は起き上がり、食卓に行くと、母親が目の下にクマを作ってボンヤリとしていた。


「お母さん、おはよう」

「…おはよう、アリス。パンでいい?」


私は頷き椅子に座ると、目の前に牛乳と菓子パンを置かれた。


「お母さん、目の下にクマが出来てる……大丈夫?」


私がそう言うと母親はすがるような目をして言った。


「大丈夫じゃないわ……。眠れなかったのよ、一睡も出来なかったわ……」


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