あの子と私
「お父さんが帰って来るまで、横になってた方がいいよ」


私がそう言うと、母親は凄い剣幕で怒鳴った。


「横になるですて…?こんな時に横になんてなってられないわよ!!馬鹿な事言わないでちょうだい!」

「……ごめんなさい」


私が謝ると母親は溜息をついて言う。


「いいのよ…食べなさい」

「…うん」


私は袋を開けてパンを食べる。

そして時計を見ると、いつも家を出る時間が近付いていた。

本当に休むの…?

一分一分、時間が過ぎる度にソワソワする。


「お母さん…お母さんが落ち着いたら学校に行っていい?」

「ダメよ、ダメ!今日は一日家に居るのよ」

「分かった…」


パンを食べ終わると、母親はリビングに行き、テレビを付けて紅茶を飲む。

少しソワソワしていると私とは反対に、母親は黙ったまま暗い顔をしてボンヤリとテレビを見ている。

時間がどんどん経って、学校が始まる時間が来ていた。


ずっと…こうやっているのかな?


もう一時間目が始まった。

ヨシとトモは学校に行っているのかな。


そう思った時チャイムが鳴った。


「お母さん、誰か来たよ」


私がそう言うと母親は顔を引きつらせて言った。

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