あの子と私
でも母親は悪びれる事なく、真雪に次の言葉を発した。


「それから…男の子を連れ込んだりしない事。アンタの母親はとんでもない女だったから、同じような事はしないでちょうだい!!」

「…分かってます」


アンタの母親はとんでもない女?


お母さんと真雪ちゃんのお母さんは知り合いなの…?


少し沈黙になり、重い空気が流れた時、玄関のドアが開く音が聞こえ、足音が近付いて来る。

部屋のドアが開き、入って来たのは父親で、父親は母親に言った。


「ごめん。少し用事があったから、真雪を先に送ったけど…どうした?」


すると母親は不機嫌そうな顔をして黙り、代わりに真雪が答える。


「私もさっき着いた所で…」

「そうか。疲れただろ?部屋は用意してある。行こう」


そう言ってリビングを出ようとする父親に向かって、母親は怒鳴るように言った。


「貴方!もしかしてあの部屋をその子に使わせるつもり?!」

「あぁ」

「あの部屋は私と貴方の…」


母親はそう言って泣き崩れ、真雪と父親は部屋を出て行く。

< 93 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop