あの子と私
そして真雪は又表情を変え、今度は申し訳なさそうな顔をして言った。


「私がここに来て、凄く嫌な思いをしてるじゃない?だから、少しでも喜んで貰えたらなって…」

「そっかぁ。うちのお母さんはね…最近魚が好きみたいだよ。魚料理ばかりだから」

「分かった」


真雪はそう言うと冷蔵庫の中から色んな食材を取り出していく。

真雪ちゃんとお母さんの間に、何があるのか分からないけど、二人が仲良くしてくれた方がいいに決まってる。

私は料理なんて家庭科でしかやった事がないから、何が出来るかも分からないけど……。



「私、何か手伝える事ある?」


私が真雪にそう言うと、真雪は一瞬黙り、笑顔で答える。


「ううん。アリスちゃんにもお世話になるから、そこに座ってて」


遠慮しなくてもいいのに。

私は真雪の言葉に頷き椅子に座ると、真雪の包丁裁きを眺める。

魚なんて洗ってぶつ切りにするんじゃないの?


何をやっているかよく分からない。

それにしても真雪ちゃん、包丁を使うのが本当に上手。

私なんて家庭科でやったリンゴの皮むきでさえ20分は掛かったのに。

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