あの子と私
お母さんは料理なんていいから勉強をしなさいって言うけど、真雪ちゃんのお母さんは違ったのかな?

どんな人……だったんだろう?


聞いてもいいかな?

私は真雪に聞いた。


「ねぇ、聞いてもいい?」

「何?」

「…真雪ちゃんのお母さんってどんな人だったの?」


真雪は一瞬悲しそうな顔をすると、すぐ笑顔になって答える。


「ちょっと変わってるけど、優しい人だったよ」

「…変わってる?」

「うん。母親って感じじゃなかったかな。男を捕まえておくには、ご飯と夜の営みだって言うのが口癖だった。小学生の頃からだよ?」


やっぱり、真雪ちゃんは勉強勉強って煩く言われなかったんだ。


「後ね、勉強より美容の事に煩かった。女一人で生きてたから、同じようになって欲しくなかったのかな…」

「ふーん…」


女一人?
お父さんは早くに亡くなったのかな?

お母さんが亡くなったばかりみたいだから、まだ聞かない方がいいよね…。


「アリスちゃんは?」


私…?


「私は…勉強ばかり」

「じゃあ、今度勉強教えて!私、苦手なんだ」

「うん。いいよ」


真雪ちゃんは両親が居なくて可哀想な子だから、勉強くらい教えてあげよう。

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