【番外編】もしも願いが叶うなら… ー星空の下、キミとの約束。
#1
「ねえ、カラオケ行かない?」
「今日パス、ゲームのイベントあんだ」
「はあ?ノリわるー!!」
放課後のチャイムが鳴り、賑やかな声を響かせながら、クラスメートが慌ただしく教室を飛び出していく。
「鈴ちゃん、また明日!」
「うん!ばいばーい!」
その慌ただしさに乗ることはなく、みんなを送り出しながら荷物をまとめている私。
咲川鈴。高校1年生。
長く伸ばしたストレートの髪を、高い位置で一つにまとめている。
秋になって、やっと少し涼しくなってきたから、そろそろ下ろそうかななんて、思ってもいるんだけど。
解けば、腰近くまでストンと綺麗に落ちる私の髪は、昔から大切に手入れをして伸ばしてきた私の宝物。
毎朝鏡を見ては、丁寧にまとめあげている。
「鈴、今日この神社いかない?」
マイペースに荷物をまとめている私の席に寄って来た1人の女の子。
中学生の頃から親しくて同じ高校に入学した、私のお友達、亜由ちゃん。
「神社?どうしたの、何かあったの?」
少し心配に思って、亜由の顔色を伺うと、
彼女はあっけらかんとしてスマホの画面を見せた。
「知らない?ここでお願いしたことがめっちゃ叶ってるっていま、話題なの!」
目を輝かせる亜由に私は、ふにゃりと頬を緩めた。
良かった。特段悩みがある訳では無いみたい。
「全然知らなかった~」
安心した私が、思わず間の抜けた返事をすると、亜由はスマホを閉じて私を急かす。
「じゃあやっぱり行かないと!ねっ!」
輝かしい笑顔を見せる亜由を見て、私はリュックを背負い立ち上がった。
「うん、行ってみたい!」
いつも通りの笑顔を見せると、亜由は「それでこそ鈴」と満足げに歩き出した。
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