【番外編】もしも願いが叶うなら… ー星空の下、キミとの約束。
「あのね、本当に似てるの。」


彼が持つ、特有のお兄ちゃんに似た雰囲気からだろうか。

私は自然とそんな風に口を開いていた。


「お兄ちゃん?」


昨日の事をしっかり覚えていたみたいで、私は静かに頷く。


「昔、よく遊んでくれたお兄ちゃん。もう何年も会ってないんだけど。」

「……へえ……。」


興味深そうに、頷いた彼。

優しく温かなのに、どこか冷静な瞳で、彼は私に呟いた。


「俺は、そのお兄ちゃんじゃないけどさ」


分かっている、当たり前のことだけど。

思ったより、ずっと鋭くその言葉は私の胸に突き刺さった。


「…分かってるよ。」


私はこの人に、お兄ちゃんを求めていたんだ。

何を言ったって優しく受け止めてくれる。

あの安心感を、求めてしまっていたんだって、初めて気づいた。


――やっぱり、お兄ちゃんはもういない。


何でも叶えてくれるなんていう、安易な噂話を信じていたわけじゃないけど。

私の病気を治してくれた。

大切にしていたお守りと繋がった。

そんな神社で突然現れた男の子に、お兄ちゃんを重ね合わせて、

もう一度会えたような、そんな期待を抱いてしまってたんだ。
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