【番外編】もしも願いが叶うなら… ー星空の下、キミとの約束。
#6
「本当にファミレスで良かったの?」
「うん。だって図書館は静かすぎて聞きづらいじゃん」
勉強を教えてもらうという約束通り、ファミレスへとやってきた私達。
「予習だっけ?やっぱ意外と真面目」
私のノートをぺらぺらと見ていた彼は、そんなことを呟く。
「だから意外とってやめてよ。私だって、うちの高校ではそんなに成績悪い方じゃないんだから」
学力の高い高校に通う奏からしたら大したことない成績だって分かってるけど、そんな強がりな言葉を並べた私。
「ふふ、で、どこが分かんないの?」
少し面白がっているような目で聞いてくる奏に、私は不満げな表情を浮かべながら分からなかった問題を指差した。
「えー、これ?」
「馬鹿にしてるでしょ」
その表情にぷくりと頬を膨らませると、奏はふわりと笑って首を振った。
「嘘嘘、全然応用問題じゃん。これ分かったら相当良い大学狙えるよ」
言いながら、さらさらと解答式を書き始める奏。
俯くと目にかかる、色素の薄い前髪は、違うと分かっていてもやっぱりどこかお兄ちゃんを連想させる。
「…よし、じゃあ、最初から説明するよ?」
「うん。」
面倒見の良い、優しいところはお兄ちゃんに似てるんだよなあ。
「うん、ここまでわかれば、あと行けるでしょ。」
「うん……うん??」
「え?」
「え?全然無理」
「え?なんで?」
「え、逆に何で!?」
だけど、絶対的にお兄ちゃんとは違う子供っぽい一面もある。
そんな奏とのやりとりは、どの瞬間も楽しくて、あははと笑みを零せば、奏も可笑しそうに笑った。