【番外編】もしも願いが叶うなら… ー星空の下、キミとの約束。
#7
「今日は、カラオケでも行く?」
「ありあり、鈴も行くっしょ!?」
今日は部活がオフの亜由。
亜由を含む友人たちに誘われて、私はにこりと笑顔を返す。
「もちろん!」
頭の片隅に、奏は何してるかな、なんて思考がちらついたけど、気付かないふりをして友人たちの後を追う。
「鈴ちゃん」
「伊藤さん!!?」
廊下から呼ばれた私の名前に、いち早く反応したのは亜由。
私が振り向くよりも前に大声で叫ぶから、先輩がいる驚きよりも面白さが勝ってしまった。
「亜由、反応早すぎ」
クラスメートも驚きの速度。
私は、真っ赤な顔を隠す亜由を横目に、廊下へと近づいた。
「この前言った大会、今週末だけど、考えてくれた?それと、マネージャーの件も」
笑顔の先輩の奥に見える、少し遠くでこちらの様子を伺うサッカー部の面々。
先輩は人気者だから誘う役をやらされているんだろうか。
だとしたら、断られたなんて、言いづらいよね…。
咄嗟にそんな考えが脳裏に浮かび、気付けば私は首を縦に振っていた。
そもそも、断る勇気なんてなかったし…
「大会、亜由と一緒に見に行きます!」
言うと、嬉しそうに微笑み、両手で大きな円を作って部員に向ける先輩。
その様子に、断らなくてよかったなあ、と内心ほっとする。
「じゃあ今週末!待ってるね。亜由ちゃんも!」
思わぬところで名前を呼ばれた亜由が教室内で、心を撃ち抜かれて頭を抱える。
そんな彼女を見て、先輩と笑い合い別れた。
「まじ、さすが鈴。超おこぼれもらっちゃってる幸せ~!」
嬉しそうな亜由を見て、やっぱり断らなくて良かったと、自分に言い聞かせていた。