【番外編】もしも願いが叶うなら… ー星空の下、キミとの約束。
伊藤さんに誘われて観戦にきた大会は、対戦校のグラウンドで行われていた。
「初めて入るよ。高学歴イケメンいないかな。なんて、伊藤さん見に来たのに、だめだめ!」
そんな楽しそうな亜由をよそに、私は、周りを見渡す。
土曜なのにちらほらと見える生徒の制服は、見慣れたものだった。
今日の対戦校は、奏の高校だ。
でも、奏は部活はやってないって言っていたし、休日だし、いないよね。
そう自己解決してからは、観客席に座って、試合に集中した。
大会は、とても見ごたえがあった。
チームメンバーに明るく指示を飛ばす先輩は輝いていたし、チームの雰囲気も良くて、応援したくなる。
断れずに何となく来てしまった大会。
マネージャーを断る理由を必死で探して憂鬱な気持ちになっていた私は、このままサッカー部のマネージャーになってしまうのも悪くないのかもしれない。と思っていた。
「あっついね」
「ね、もう秋なのにね?」
ほとんど夏といってもいいほどの、晴天に眉を顰める亜由。
私は立ち上がり、彼女に伝えた。
「私、お水買って来るよ、待ってて」
「あ、私も行くよ」
当然のように立ち上がろうとした亜由に、私は微笑む。
「大丈夫だよ。先輩の雄姿見ててよ」
「え、えー!?まじ?いいのー!?」
亜由は少し申し訳なさそうにしながらも、頷く私を見て起こしかけた腰を下ろした。