【番外編】もしも願いが叶うなら… ー星空の下、キミとの約束。
「にしても、やっぱ鈴は優しいね。美希ちゃんのノート、毎時間とってんでしょ?
中学時代から大人気な理由も分かるなあ、伊藤さんにも名前覚えられちゃってさ」
隣を歩く亜由がそんなことを呟き、私は曖昧に笑う。
亜由とは付き合いが長いので、お世辞でも裏があるわけでもなく、ただ純粋に言われていると分かる言葉。
「別に、普通だよ。ほら、だって、彼氏もいないし、ね?」
誰にでも優しい、人気者、モテる。
ちらほら言われることのある、そんな褒め言葉への、私のお決まりの返しだった。
「またそれ。それは鈴が優しいし気遣いも出来るし明るいし、ちょっとできすぎてて近寄れないんだって言ってるじゃん!
高嶺の花だよ高嶺の花!」
「よく言いすぎだよ、ほんと、普通だから。」
呆れたように言い切ると、亜由は不満げに口を尖らせた。
「鈴の気遣い力は、絶対に普通じゃないけどね。
親しみやすさはあるのに、どっか大人びてるっていうかねえ」
遠い目をして呟く亜由の声に私はまた、曖昧に笑い返した。