クールな御曹司の溺愛は初恋妻限定~愛が溢れたのは君のせい~
「ね、ねえ……私は神崎美雪。あなたは名前なんて言うの?」
 思い切って名前を聞いたら、彼はまた本に視線を戻しながら答える。
「有栖川蒼」
「す、素敵な名前だね」
 つっかえつつも笑顔を作って褒めると、濃紺の着物を着たおじいちゃんがやってきて、私の頭をよしよしと撫でた。
「こんにちは。お嬢ちゃんは、かわいいね。蒼のお友達かな?」
「いえ……私は……さっき初めて会ったばかりで」
 どこのおじいちゃんだろう?
 じっとおいじちゃんを見つめていたら、父が息せき切ってやってきた。
「美雪〜、勝手にいなくなっちゃダメだろ?」
「ごめんなさい」
 父に注意され、しゅんとして謝っていると、おじいちゃんが興味深げに目を光らせた。
「ほお、この子は神崎くんのお嬢さんかね?」
「はい。美雪と言います。会長、うちの娘がご迷惑をおかけしてすみません」
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