リスタート〜自分を信じて〜
「あ、成宮先輩」

帰ろうと更衣室の外を出るとまた後輩に声をかけられた。

「久木くん、お疲れ様」

女子の中では背の高い私より20センチくらい高い1つ年下の久木くんは、最近よく声をかけてくれる。生意気だが優しくてバスケでも周りを見る力がすごい。

「更衣室出てくるの同時でしたね、一緒に帰りません?」

女の子を誘い慣れてそうな言い方で誘ってくれた。久木くんとは家の方向が同じなため時々一緒に帰ってる。そのため私は何も深く考えずいいよと返事をした。嬉しそうな久木くんの笑顔に少しだけ瞬を思い出してしまったのは内緒だ。

「今日も練習疲れましたねー」

ゆっくりと歩き出しながら久木くんが言った。彼の声は瞬よりも低く落ち着いた声だ。

「そう?筋トレもしてないし楽な方だと思うよ」

私は少しイタズラげに言った。

「それは成宮先輩が体力化け物だから〜」

口を尖らせて言う久木くん。しばらく他愛もない話をして歩いた。
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