新 撰 組 終 末 記
『そうですかね〜…』
…また、シーンと静まり返った。
新八さんの視線が、チクチクを刺さる。
総司「雪乃さーん、連れてきましたよ」
?「おおっ、貴女が雪乃さんかっ!」
??「……………」
沖田さんは、二人連れてきた。
よかった…。今の新八さんに対して、誤魔化せる自信無いし。
『ゆ、雪乃です…よろしくお願いします』
?「まあまあ、そんな固くならさるな。」
体格が良くて厳つい顔の人と、口を一文字にしている仏頂面の人。
恐らく、近藤 勇と土方 歳三だろう。
近藤さんは、思っていたよりも明るくて、笑顔が素敵で、朗らかな人だ。 月代こそ剃ってはいないが、髷を作っていて 綺麗に整えられている。
土方さんは、写真や文献に違わず 容姿の整った美男子という言葉が よく似合う人。 さらさら と、長い髪の毛を頭頂で束ねて、肩まで垂らしている。 いわゆる、総髪というものだろう。
長机を挟んで、私の向かい側に近藤さんと土方さんは座った。
勇「私はこの壬生浪士組の局長の近藤 勇と申す。」
??「おい、こんな怪しい女に名乗る義理はないだろ」
絶対零度の低音で、睨みを緩めることなくそう言う土方さん。
髪の毛の長さこそ違うが、美しくて 女性に人気のあるその顔は変わらない。 その顔で凄まれると、正直怖くてたまらない。
勇「まあまあ、気にしないでくれ雪乃さん。コイツはいつも怒りっぽいんだ。 副長の土方 歳三という。仲良くしてやっておくれ」
歳三「ばっ…俺の名前を言うんじゃねぇよ! 間者じゃねぇ証拠あんのか」
切れ長の目が、私を捉えて離さない。
威圧感が凄いけれども、負けじと見つめ返す。
総司「土方さんったら、そんな顔したら怖がってしまうでしょう?」
歳三「うるせぇ総司。この女に聞いてんだ」
また、静まり返る。
思わずゴクリと唾を飲み込む。