【完結】大人女子✕年下男子!あなたがだいすきです!可愛い年下わんこ君との恋人7日間契約
隆太朗の部屋で、夕飯を食べて映画を見て、キスをした。
恋人のキスをして、タクシーに乗って帰宅した。
「ただいま」
利紀がリビングのソファでビールを飲みながらスマホをいじって、こちらを向いた。
「おかえり! ……どしたの? 楽しくなかった?」
利佳子の厳しい表情を見て、弟が心配そうに言う。
惚けたような顔をしていたらと思って、厳しい顔しかできなかっただけだ。
「楽しかったわよ。 ……ねぇトシ、どうして私との事反対しなかったの?」
「え? なんで? あいつが好きって言ってるんだから俺がなんか言うことあんの?」
利佳子と違って、利紀は素直で……まっすぐだ。
「だから、こんな年上の女って……何歳離れてると思ってるのよ」
「は? そんな事、リュウが1番わかってるだろ。初対面で歳の差は教えてあるんだから」
この子は素直じゃなくて、おバカかしら? と少し利佳子はイラっとする。
「隆太朗君のご両親だって、大事な息子がこんな年増と交際してるなんて知ったら悲しむわよ」
「姉ちゃんだって、父さんと母さんの大事な娘だろ」
リビングに飾られた家族写真。
こんな時に、亡くなった二人の事が頭に過ぎる。
もしも二人が生きてたら……私になんて言うんだろう?
そこで利佳子は首を振る。
「あぁ~~もう! そういう話じゃないのよ~! おバカねっ!」
「何が? 別に深く考えなくてもさ、あと六日? のお試し終わって終了~すればいいだけじゃん」
あっけらかんと、利紀は言って缶ビールを飲む。
「……そう、そうね。そのとおりなんだけど……なんとかギクシャクしないで元の関係に戻りたいでしょ?」
「あいつは、そういうの大丈夫でしょ。俺が保証する」
利紀と隆太朗は大親友だ。
高校生の頃は、毎日遊んで、進路が分かれても忙しくても連絡を取り合っている。
そんな二人の仲も気にしているのだが、そう言われてしまうと……。
「そっか……シャワー浴びて寝るわ」
今日着たニットを脱衣所で脱ぐと、ふわっと隆太朗の香りがした。
利佳子ブレインに、登録してしまった彼の香り。
その日の夜は、何度もキスを思い出さないように恐怖映画の事を考えて布団に入る。
隆太朗からも『あのシーンが頭から離れない』とメールがきて、少し笑って眠った。