❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
「渡辺、由梨を連れて先に帰れ」

「しかし……」

「俺の命令が聞けねえのか」

「承知致しました」

渡辺は由梨と裕也を連れて、その場をあとにした。

由梨は後ろ髪を引かれる思いで健吾を見ていた。

建物を出ると、停車してあった車に乗り込み、西園寺組事務所へ車を走らせた。

事務所へ着くと、「若頭はどうしたんですか」と組員が口々に言った。

渡辺は健吾の考えが分からず、途方にくれた。

健吾は、気づくとベッドに身体を横たえていた。

身体中が悲鳴を上げていた。

そこへ、健吾の顔を覗き込んだ男がいた。

「西園寺組若頭、どうしてくれるんですか」

その男は山本組若頭一真だった。

「読み通りだったな、お前は俺を助けると……」

「山本組に戻れませんよ」

「俺のところにこい」

あの時、渡辺が由梨と裕也を連れ出したあと、健吾は力尽きてぶっ倒れた。
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