❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
「健吾さん」

由梨はまたしても健吾の名前を口にした。

(由梨、まだ俺の記憶はあるんだな)

「健吾さん、どうされたんですか、大丈夫ですか」

一真は驚いた。

(昨日のことは、記憶から消えているのに、若頭の存在は残っているんだ)

由梨は一真に顔を向けて、一礼し、言葉を発した。

「はじめまして、あなたが健吾さんを助けてくださったんですか」

一真は固まった。

由梨はじっと見つめられて、戸惑った。

(なんでじっと見てるの、この人誰だろう)

「由梨、そいつは東條一真だ、俺を助けてくれた命の恩人だ」

「そうですか、ありがとうございました」

一真は我に返り、一礼した。

「しばらくこのマンションを使ってください、俺は女のところにいます、ほとぼりが冷めるまで目立った動きは控えてください」

「何から何まですまねえ、感謝する」

渡辺も一真に頭を下げた。

一真はマンションを後にした。
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