❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない

第十四章 恐れていたこと

そんなある日、由梨はキッチンでコーヒーカップを落とした。

コーヒーカップは床に落ちて粉々に砕けた。

「大丈夫か、由梨」

由梨は健吾をじっと見つめていた。

「誰?」

健吾は由梨の言葉に愕然とした。

とうとう恐れていた日がやってきてしまった。

「痛い」

由梨はコーヒーカップのかけらで指を切ってしまった。

「由梨、消毒しよう」

健吾は由梨をリビングのソファに座らせて、救急箱を持ってきた。

しばらく一真のマンションに厄介になっていたが、健吾が歩けるようになったのをきっかけに、自分のマンションに移っていた。

現在、一真は山本組から抜けて、西園寺組若頭健吾の側近を努めている。

「由梨、指を見せてごらん」

由梨は目の前にいる男性が、誰だかわからなかった。

どうして自分がここにいるのかも……

「はい、消毒終了」

「ありがとうございました」
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