❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
「いいえ」

「今日は気温が高くて暖かいから、散歩に行く?」

「そうだ、自己紹介するよ、俺は西園寺組若頭の西園寺健吾だ」

「そして、俺の目の前にいるのは、夕凪由梨、今俺は由梨を口説いている」

健吾は由梨と離婚はしていないが、由梨はどうしても健吾には自分じゃない他の奥さんがいると思っているらしい。

由梨の担当医師との話し合いで、納得いかないことを押し付けても、刺激を与えるだけとのことで、二人の関係はスタートラインに立ったところから始めると言うことになった。

でもそれは健吾を健吾と認識している時のこと。

今この瞬間に由梨の記憶から健吾は消えたのである。

想定していた、でもこの現実は思いも寄らないほどのショックだった。

「私、ご迷惑かけているので、もう、帰ります」

由梨はドアのほうに向かって歩き出した。

「待って、由梨」

(考えろ、無理に引き留められない、何か由梨が納得する理由を考えろ)

「由梨、由梨は泊まるところがなくて、俺が面倒見てるんだ」

「そうなんですか」

由梨は納得してくれた。

そんな時、健吾の父親が他界した。
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