❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
健吾はさえを誘った。

「あのう、健吾さんに女性がたくさんいても、私、気にしませんから」

「自分には女はいません」

さえは驚きの表情を見せた。

「自分には諦められない女がいます、さえさんと結婚しても、愛することは出来ません、
ですから、さえさんから、この縁談、断ってください」

「その諦められない女性とは、今も関係が続いているのでしょうか」

「いいえ、五年前に姿を消して、まだ消息不明です」

「そうですか、いいですよ、健吾さんがその方を想っていても、ちゃんと私を抱いてくだされば、私は健吾さんと夫婦になりたいです」

健吾は戸惑いを見せた。

「愛はなくてもよろしんでしょうか」

「構いません」

「しかし……」

「実は私にも愛する男性がいます、堅気の人です、その人とは将来歩んでいくことは出来ません、でも別れることも出来ません」

健吾は黙って聞いていた。

「母はやはり堅気の男性を好きになりました、そして駆け落ちしたんです、でもお爺さまに捕まってしまい、父は帰らぬ人になりました、でも母のお腹には既に私が宿っていました、母は私を生む決心をして、でも父の後を追って命を経ちました、私は彼にそんな想いをさせたくありません」
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