❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
「お断りします」

「なぜだ」

「借金を西園寺さんに払って頂くわけにはいきません」

「東條と結婚するつもりか、不幸になるのは目に見えているだろう」

「それじゃあ、西園寺さんと結婚したら、私は幸せになれるんですか」

「ああ、俺は生涯由梨だけを愛し抜くと誓う」

由梨はこの時、西園寺について行きたいと思った。

でも、なんの確証もない。

西園寺のことは何も知らない。

しかも極道の言葉を信じるなんて、あり得ないことだ。

散々弄ばれて、どこかに売られたり、借金を払ってもらう代わりに、

キャバクラで働かされたりの人生が待っているだろう。

「さっき、私と初対面ではないと言ってましたが、どこで会ったのでしょう」

「五年前、俺の命を救ってくれたんだ」

由梨は驚いた。

命の恩人にどうして生涯の愛を誓えるの?

(私のことは何も知らないのに……)

それに由梨は記憶がなかった。
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