❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
(命の恩人って、そんなこと記憶にない)

「お願いですからお帰りください」

由梨に背中を押されて、ドアの外に追い出された。

ドアは閉まり無常にも鍵がかかる音が響いた。

「おい、由梨、俺は諦めないぞ、また飯を食わせてくれ、由梨の飯はすげえ美味かった」

健吾の言葉はすべてはじめて言われたことばかりだった。

健吾を信じられないと思いながら、心臓の鼓動が警鐘を鳴らしてる。

由梨は少女のようにときめいて、健吾に惹かれ始めていた。

夜は一睡も眠れず、朝を迎えた。

健吾も同じだった。

由梨とのキスは健吾の独占欲に火をつけたのだ。

(東條優馬に触れさせてたまるか)

次の日も健吾は由梨のアパートへ向かった。

しかし、ドアをノックしても応答がない。

(仕事から戻らないのか、それとも居留守か)

辺りは闇に包まれて街灯がつき始めた。

でも由梨の部屋の電気は一向につく気配がない。

(俺は無視されてるわけじゃねえな)
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