❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
由梨のへやのドアが開くことはなかった。

健吾は由梨の部屋の前で座り込んだ。
白々と辺りが明るくなり、夜が明けてきた。

由梨ははじめてのことに動揺していた。

極道の西園寺からのプロポーズ、そして思いもよらない熱烈な溺愛。

はじめてのキス、ドキドキする抱擁。

(どうして?私にそれだけの魅力があるとは思えない)

由梨は口ではあんな風に突っぱねたが、健吾に惹かれていった。

出掛けようとドアを開けるが動かない。

(えっ、なんで)

由梨は思いっきりドアを押した。

「痛え」

いきなり男性の声が聞こえて、覗き込んだ。

「西園寺さん」

健吾だった。

健吾は立ち上がり、頭を押さえている。

「何をしているんですか」

「いつの間にか寝ちまったんだな、由梨、仕事か、送っていってやるよ」
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