❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
「ではすぐにそちらに向かいます、GPSを追いますのでそのままスマホは切らないでください」

「俺のスマホは逃げる途中で落としたんだ」
「ではこれはどなたのスマホですか」

答えようとした時、悲鳴を上げた。

「痛え」

女は自分のスカートを破って、俺の血がドクドク出ている部分に縛り付けた。

「止血しないと死んじゃいますよ」

スマホからは渡辺の叫ぶ声が聞こえていた。

女はスマホを握って、答えた。

「ここは新宿三丁目の雑居ビルの裏通りです、脇腹から血が出ていてかなり重症です、今止血しましたが、救急車呼んだ方がよろしいんではないでしょうか」

「よろしくお願いします」

俺は意識が朦朧としてきた。

目がかすみ、身体に力が入らない。

口が乾いて水が欲しかった。

「水をくれ」

その女はバッグからペットボトルの水を取り出すと、俺に飲ませてくれた。

でもなかなか喉を通っていかない。

その女は自分の口に水を含み、俺に口移しで飲ませてくれた。
< 21 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop