❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
ゴクンと水は俺の喉を通って、身体に染み渡った。

「もっとくれ」

女はまた、口移しで水を飲ませてくれた。

俺を覗き込む女の顔を俺はじっと見つめていた。

(なんてうまい水なんだ)

救急車が到着するまで、その女は俺の手をギュッと握ってくれていた。

これが俺と由梨の出会いだった。

救急車よりも早く、渡辺は到着した。

「若頭、しっかりしてください」

渡辺は健吾の手を握っている由梨の姿に気づいて頭を下げた。

「若頭が大変お世話になったようで、ありがとうございました」

「いいえ、では私はこれで失礼します」

由梨がその場を去ろうとしたが、健吾が由梨の手を握って離さない。

「あのう、病院までご足労願えないでしょうか」

由梨は一緒に救急車に乗り込み、病院へ向かった。

病院に到着すると、健吾はすぐに緊急手術になった。

健吾は命を取り留めた。

「では、私はこれで失礼します」
< 22 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop