❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
健吾は総務部のドアを開き、大声で由梨の名前を叫んだ。

「由梨、由梨」

由梨は健吾の声に反応した。

(うそ、西園寺さん)

健吾は由梨の姿を見つけると、由梨に近づいた。

「由梨、引っ越しなんて聞いてねえぞ」

「ごめんなさい、社長に呼ばれて、社長のマンションへ引っ越すからと言われて……」

「由梨、こい」

健吾は由梨の腕を掴み、総務部から連れ去った。

咄嗟の出来事に由梨は健吾の言うなりについていくしかなかった。
エレベーターは使えず、裏の非常階段をつかい、ビルの外に向かった。

壁を軽々と越えた健吾は、由梨に手を差し伸べた。

「由梨、飛び降りろ」

「無理です」

「俺を信じろ、俺についてこい」

由梨は思い切って健吾の腕の中へ飛び込んだ。

健吾はスマホで裕也に連絡を取った。

「おい、ビルの裏に車を回せ」
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