❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない

第八章 由梨の寿命

健吾は仕事が終わると、まっすぐ由梨が待つマンションへ帰った。

「それでは、若頭、また明日お迎えに参ります」

「ああ、よろしく頼む」

「あのう、若頭、嬉しそうですね」

「はあ?いきなりなんだよ」

「いや、いつもは飲みに行って、マンションは寝るための場所だったのに、生活の場所になってますよね」

「当たり前だよ、由梨が待ってるんだからな」

「へい、そうでした、ではおやすみなさい」

裕也は健吾がエントランスに入っていくのを見届けて、車を発進させた。

健吾はいつもは部屋番号を押して、オートロックを自分で解錠するのだが、インターホンを鳴らした。

一回、二回、インターホンが鳴り、由梨の可愛らしい声が聞こえた。

「は〜い、どちら様ですか」

「由梨、帰ったぞ、開けてくれ」

由梨はオートロックを解錠した。

エレベーターで最上階のボタンを押す。

エレベーターが上昇する時間が、今までこんなにも長く感じたことはなかった。

最上階に着くと、ドアが開く時間さえも、惜しいくらいに、早く開けよと開くを連打する。
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