❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
慌てて健吾の後を追ってきた裕也は、驚きを隠せずにいた。

(マジかよ、若頭、いきなりプロポーズしちゃったよ)

「あのう、訪問先を間違えているのではないでしょうか」

「お前は夕凪由梨だよな」

「はい、確かに私は夕凪由梨ですが、西園寺健吾さんは存じあげません」

「お前の借金、俺が払ってやる、だから俺と結婚しろ、俺は生涯お前だけを愛すると誓う」

衝撃的な健吾のプロポーズだった。

由梨はこの時、ドアの向こうの健吾の言葉を信じられずにいた。

(ヤクザの言う事なんて、誰が信じるの)

「とにかく、開けてくれ」

「お断りいたします、お帰りください」

健吾はドアの前でずっと動かなかった。

裕也は見かねて、健吾に一旦撤退するように促した。

しかし、健吾は裕也の言葉には耳を貸さない。

健吾は通路に座り込み、ドアが開くのを待っていた。

裕也はコンビニに行って、サンドウィッチと飲み物を買ってきた。

「若頭、食べ物買ってきました、腹が減っては戦はできぬって言いますからね」

「おお、お前気が効くな」
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