❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
「由梨さんが忘れたみたいなんです」

健吾は差し出されたカードキーを受け取った。

「実は何回かあって、今までは由梨さんに渡していたんですが、こうも続くと
ちょっと……それで西園寺さんにお伝えしておこうと思って」

「お気遣い頂きありがとうございます」

健吾は丁寧に頭を下げた。

このマンションは西園寺組組長がオーナーで、つまり、健吾の父親だ。

コンシェルジュは古くからの父親の知り合いだった。

色々なことで世話になっている。

由梨のこともちゃんと紹介しておいた。

将来の伴侶だと……

健吾はまさかと思ったが、思い当たる節はたくさんある。

(一度、病院へ連れて行くか)

健吾は由梨を連れて病院へ向かった。

「健吾さん、どこか具合でも悪いんですか」

「ああ、俺じゃなく、由梨」

「私ですか」

由梨は、一年前の病気のことだと思った。

(でも、なんで健吾さんは知ってるんだろう)
< 66 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop