❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
病室に健吾だけが残された。

「あのう、由梨は?」

「由梨さんとご結婚の予定はおありですか」

「はい、俺は由梨と生涯一緒にいます」

「そうですか、はっきり申し上げます、由梨さんはアルツハイマー型認知症です」

「それって、年配の人の病気じゃ」

「若年性アルツハイマー型認知症です」

「あのう、いろんなことを忘れて行ってしまう、あの認知症ですか」

先生は頷いた。

健吾は愕然とした。

「諦めずに治療していきましょう」

健吾は病室を後にした。

(由梨が認知症?つまり俺のことも忘れるってことか)

待合室で、待っていた由梨が、駆け寄ってきた。

「健吾さん、先生のお話しはなんでしたか」

「うん、ちょっと疲れが出てるみたいだから、ゆっくり静養が大切だってよ」

「私がですか」

「そう、そう、由梨、今まで働きすぎだったからな」

由梨はやっぱり、一年前のことが関係あるのだと確信した。

まさか、自分が若年性アルツハイマー型認知症なんて考えも及ばなかった。
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