❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
辺りは暗くなり始めた。

(誰も通らねえじゃねえか、どうするんだよ)

健吾は夜空を見上げて、由梨の笑顔を思い返していた。

手も足も何も感じない。

(あの時もダメだと思ったっけ)

銃で撃たれて、血がドクドクと流れた。

(その時、俺の顔を覗き込んだのが由梨だったな)

健吾は徐々に意識が薄れていった。

そんな中、西園寺組は捜索が難航していた。

「兄貴、見つかりません」

「病院を出たのは確かだ、病院からの帰り道の何処かに若頭はいるはずだ」

「まさか、拉致されたとか……」

裕也の言葉に渡辺も嫌な予感がした。

暗闇の中、これ以上は捜索は不可能と渡辺は判断した。

次の日、渡辺は山本組に向かっていた。

「うちの若頭を返してもらおうか」

山本組組長は口角を上げて、ニヤリと笑った。

「さて、何のことを言ってるのかな」
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