❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
「えっ、俺、好きな料理だ」

そう言ってニッコリ微笑んだ健吾の笑顔に、由梨は安堵した。

いきなりプロポーズしたり、ドアの前に座り込んだりするヤクザの若頭。

こんな素敵な笑顔をするなんて、誰が想像出来るだろうか。

由梨は気が緩んでクスッと笑った。

健吾は由梨の笑顔に思わず腕を引き寄せ抱きしめた。

「きゃっ」

「少しこのままでいてくれ」

健吾は由梨を強く抱きしめた。

抱きしめた由梨の身体は震えていた。

健吾はまずいと思い、身体を離した。

「悪い、怖がらせたな、すまん、つい思いが溢れた」

「あのう、私、初対面ですよね、なんでプロポーズされたんですか」

「俺は由梨と初対面じゃねえ」

由梨は健吾の言葉に驚きを見せた。

由梨のアパートは三部屋の二階建てで、由梨の部屋は階段側のため、奥の二部屋の住人は、

由梨の部屋の前を通ることになる。

丁度帰りの時間帯のため、通路に健吾がいると迷惑になるのだ。
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