❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
山本は健吾を睨んだ。

「お前は隣にいる奴を警戒した方がいい」

山本は一真を見た。

「そいつは将来トップに立てる器だ、俺は実際に腕を交えなくてもわかる、
強いだろ、頭も切れる」

「飼い犬に何が出来るんだ」

「飼い犬に噛まれないことだな」

一真は健吾はなんでもお見通しなんだと尊敬の念を抱いた。

「もう、おしゃべりは終わりだ」

山本は由梨を連れてくるように指示した。

ロープで拘束されてる由梨の姿に、山本に対して怒りを露わにした。

「由梨、大丈夫か」

由梨はキョトンとしていた。

そして、言葉を発した。

「怪我されているんですよね、大丈夫ですか」

「俺は大丈夫だ」

「早く病院へ行ったほうがいいと思います」

「そうだな、一緒に帰ろう」

一度も自分の名前を言ってくれない由梨に、自分の記憶は既にないのだと諦めかけた。
< 99 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop