噂の絶えない彼に出逢って,私の世界はひっくり返る。





「絢ちゃん,おはよー~!!!!!」



私の日常に,桜井くんが追加されていた今日この頃。

代わりと言わんばかりに欠けていたものが,ついに戻ってきた。

欠けてしまっていたもの,それは。

目の前にいる彼,稲田 正宗(いなだ まさむね)の笑顔。



「おはようまむくん」



私は信用できない男の人が嫌いだし,他の人とも極力関わりたくないけど。

小さい頃から一緒にいたまむくんだけは特別。

まむくんがいれば寂しくないし,まむくんさえいれば迷わない。

人間を嫌わないでいられる。



「風邪はもういいの?」

「うんっ。早く出てきたかったのに,ちょっと長引いちゃった」

「心配してたけど,その分なら大丈夫そう」


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