噂の絶えない彼に出逢って,私の世界はひっくり返る。

世界で一番軽い告白。

「山本さん,何か呼んでるよ~」




1日の半分以上を終えた昼休み。

ギャル代表みたいな知らない女子に呼ばれた先で。

昨日顔を見たばかりの桜井 律佳は涼しげに笑んでいた。

見なかったことにしようと教室に戻るも,彼は当然のように後を着いて入ってくる。




「な……に」



普段は人と話すことすら最小限なのに。

それすらも裏目に出てしまい,私は多くの注目を浴びた。

仕方なく振り向くと声が震えて,いっそ用件だけ聞いてしまおうと思う。

桜井くんはそんな私の瞳をじっと見て,一瞬の間を置いた。

桜井くんが息をすうその音が,やけに鮮明に聞こえる。

そして



「ジュナさん,俺と付き合って」



次の瞬間,私は思考することをやめてしまった。
< 8 / 19 >

この作品をシェア

pagetop