監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
波乱の幕開け

2人のあいだで

藤枝(ふじえだ)景依(けい)視点―


 3年生の特進クラスのひとが体調をくずして休んでいるから、と2年首席の私がその穴埋めをするように言いつけられた今日。

 それはたしかに、この時間が来るのもわかってはいたけど。


 私は刑務所棟の教室で、Verbrechen(フェアブレッヒェン)の3年生をまえにしながら、背中にばかり意識を向けていた。




「なんで俺が16のチビ看守なんかに教えてもらわなきゃいけないんだ…」


「…」


「なんなら変わってやろうか?俺もお坊ちゃんが相手じゃ気分が乗らないんだ」


「わっ!」




 うしろからおなかに手を回されて、びくっと肩が跳ねる。

 そんなところにさわらないでよ…!




「個々の能力を照らし合わせた上での適切なふりわけだ。文句を言わず、勉学に集中しろ。…藤枝(ふじえだ)


「はっ、はい!」


「いつもどおりやれ」


「はいっ!」
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